“おいしい”対談!

おいしい対談!~私たちの食卓~11月3日(火・祝)、川越スカラ座で「”おいしい”対談!~わたしたちの食卓~」と題したトークイベントが行われました。このイベントは『未来の食卓』上映記念として行われたものです。
『未来の食卓』は環境汚染の深刻なフランスのバルジャック村のオーガニック給食を取り入れた試みを通じて、食べ物、健康、そして環境について問題を提起するドキュメンタリー映画です。

そのためトークイベントも「有機農業に取り組む人たちの力になれたら」と1981年に「自然食通信社」を立ち上げオーガニックに長年関わってきた横山豊子さんと、実際に寄居町で有機栽培農業を営んでおられる自然食通信社の元スタッフ伊藤泰子さんの対談形式で行われました。オーガニックに興味のある方や農業に興味のある方などに限らず、大変興味深い内容でした。

"おいしい"対談!~わたしたちの食卓~"おいしい"対談!~わたしたちの食卓~

【オーガニック(有機農業)と一般の農業の違いについて】

伊藤泰子さん映画の中では農地への農薬散布、それによる周辺住民の白血病やがんなどの健康被害が取り上げられ、衝撃的なシーンもあります。
映画を観ると日本に関してもそれを鵜呑みにしてしまいそうですが、「日本はちょっと違う。健康被害が出るような農薬は使われていないはず」と実際に農業をされている伊藤さんはおっしゃいます。
それを踏まえた上で、「化学肥料で育てたからと言って、味が悪くなる訳ではなく、また有機堆肥だけを入れれば安心かと言えばそれは乱暴過ぎる言い方で、要は、オーガニックであってもそうでなくても最小限の肥料で、最大限の味を引き出すことが大切」なのだと話されていました。

【オーガニックをどのように生活に取り入れていくか】

横山豊子さんオーガニックは科学的な手が加えられておらず、自然のままに近いという点で私たちにとって安心で安全な食物と言えますが、ここで「生産者の顔が見えなくてもオーガニックだったら良いのか?」という疑問が出てきます。それが果たして本当に安心安全と言えるのでしょうか?
横山さんも伊藤さんも「海外のオーガニックより、国産のものを食べてほしい」とおっしゃいます。
自分たちの食卓だけがオーガニックで安全になればいいというのではなく、その安心な食卓を通して、日本の農業生産に関心を持ってほしいとおっしゃいます。生産物を低価格に抑えるために中国からの研修生を受け入れて人件費を削減し、一方では日本人の農業の担い手が減少しているという現実、農作物を作る地域の農業を存続させることが先だとおっしゃっていました。

映画では1年間に世界で使用される農薬はなんと1億4000万トンとありました。日本の中では厳しい農薬の使用基準がありますが、農薬の使用自体は未だ減っていないため、環境の問題は残ります。「家族が安心」で止まっていると環境は循環するから、いつかそれが安心であったはずの自分たちの身に降りかかってくる、だから環境に農薬が残っていることは見過ごせない問題だということを横山さんはおしゃっていました。

伊藤さんと横山さん対談を伺いながら、環境・食(農業)・健康は切り離して考えることの出来ない深く大きな問題だと思いました。
オーガニックに興味を持つのはなぜでしょう?
それは私たちが、そしてそれに続く人々が健康でいられるために、という思いがあるからではないでしょうか?
健康を考えるなら、健康に生活するための環境も考えねばなりませんし、健康に生きるために口にする食物、それを生産する農業についても考えねばなりません。人間が健康に生きるためにはこの3つのバランスを本来崩してはならなかったはずなのです。経済発展の中でこの3つをなおざりにしてしまったそのしっぺ返しを私たちは今受けているのだと思いました。

オーガニック食品の販売も(上映期間中)映画の中で、「私たちは食べ過ぎなんだ。量より質の良いものを少量食べよう」というような言葉がありました。私たちは飽食に慣れすぎてしまってはいないでしょうか。
食べ物には旬があります。手に入らない時期があるのが当然なのに、ありとあらゆる食材が1年中手に入るのが当たり前、しかも1年中美味しいに決まっていると何の疑問もなく思う愚かさ。
こうした意識をまず変えていくことが先決だと思いました。

未来の食卓横山さんも伊藤さんも、あまりこだわり過ぎず、無理の無いところから少しずつオーガニックを取り入れていけばいいとおっしゃっていました。
こだわりすぎるときっと何も食べられなくなってしまいます。こだわりすぎるあまり、「なぜオーガニックか?」という根本やそこに付帯するものを失念してしまっては本末転倒、自分なりにオーガニックを取り入れて行けたらと思いました。

「未来の食卓」はドキュメンタリーでどちらかと言えば地味な映画ですが、食に対する、農業に対する、環境に対する考え方が変わると思います。ショッキングな話や場面もありますが、オーガニックの料理がとても美味しそうで、それをほおばる子供たちの表情もたまらなく愛らしいです。上映は11月13日(金)まで。ぜひご覧下さい。

古き良き小江戸川越の街並みを探索してみませんか?

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