大林監督トークイベント報告

大林宣彦監督トークイベント川越スカラ座で「その日のまえに」上映初日の4月11日(土)、大林宣彦監督のトークイベントが行われました。124席あるスカラ座は満席となる盛況ぶりでした。
「その日のまえに」は原作者の重松清氏に「この映画を原作として物語を書きたい」と言わしめるほどに、大林監督の独自の映像の世界が現れている映画だと思いました。

「俳優の人生を借りて映画を作り、その俳優との出会いが自分の人生を作る。だからこそ出会いを大切に、大事な俳優と出会いたい。」と話す大林監督。その言葉からは、映画作りに対するこだわりや思い入れが強く感じられました。

満席のスカラ座最近では1度見ただけですべてが分かってしまう映画が多いことを残念に思っておられるようで、「1回見れば分かる映画はつまらない。」何度も何度も見て、ある時ふとそうだったのかと気付くところに映画の面白さがあると話されていました。

大林宣彦監督「映画は繋がらないことが当たり前。想像する力で見えないはずの心が見え、見ている人の心の中で繋がる。繋がらないのは人生も同じ。目に見えるものだけを信じる情報社会の中で、映っていないものを映し、目に見えないものをたぐり寄せ、描くのが映画」
「映画とは何ぞや」という根本を考えさせられる言葉でした。

映画は娯楽として見るならば決してその域を出ることはないものなのでしょう。ですがその娯楽を飛び越えてもっと高いところを見ようとするならば、見えないはずの何かが心の中に見えるようになるのだと思います。映画を娯楽に甘んじさせないためには、そうした見えないものを映し出そうとする映画、つまり「1回見ただけでは分からない」映画が増えることはもちろんですが、映画から想像し、見えないものを見ようとする私たちの力も磨かねばならないのだと思いました。

その日のまえに「その日のまえに」はまさに「1回見ただけでは分からない」映画だと思います。見る度に見えないものが見えて来て、そして何度も見て、ようやく心の中で繋がって行く、そんな素敵な映画です。スカラ座での上映は4月24日(金)まで。ぜひご覧下さい。

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