埼玉発!芳香シクラメン

シクラメンは冬の花として有名ですね。その種類も様々ありますが、「芳香シクラメン」は世界で初めて埼玉県がバイオテクノロジーの技術を駆使して、花の見栄えはするが香りの少ない園芸種と、花は小さいが香りの強い野生種とを掛け合わせて作られた品種です。


芳香シクラメン埼玉県の農林総合研究センター園芸研究所が1987年にその研究に着手、16年の歳月を経てピンク色の花の「麗しの香り」と赤紫色の「孤高の香り」の2品種の育成に成功、2004年から販売が開始されました。2006年には濃い紫色の「香りの舞」が加わり、現在では3品種となっています。埼玉県だけでしか生産できないオリジナル品種で、その生産者も限られているため、市場に出回る数は少なく、まだまだ貴重な品種です。


1975年に布施明の歌った「シクラメンのかほり」がヒットしたことにより、シクラメンの香りに注目が集まるようになりました。当時世間に出回る園芸種のシクラメンにはごく僅かな香りしかなく、それ以来、香りあるシクラメンを育成する研究がなされるようになりました。園芸品種の中に含まれる僅かな香気シトロネロールが突然変異によって比較的多く残るものを選抜して育成されたりしていましたが、種子からの繁殖が不可能でした。しかし「芳香シクラメン」の場合は種子からの繁殖が可能で、野生種の持つバラのようなヒヤシンスのような強い香気があり、園芸種よりも耐寒性、耐暑性が強く、育て易いのが特徴です。園芸種とは違って、鉢植えで楽しむだけでなく、花の終わった4月頃に地植えすることも出来、花の見頃も10月頃から2月頃まで、また5月頃にも咲くことがあり、園芸種のシクラメンよりも花の見頃も長く、休眠しにくいのだそうです。


芳香シクラメンその「芳香シクラメン」を求めて、狭山市にある「えのもと花園」さんに伺いました。ビニールハウスの中には色鮮やかなシクラメンが沢山でした。「芳香シクラメン」はどれだろうと思っているとビニールハウスの真ん中の方に案内されました。園芸種のシクラメンの咲き誇る中、ひっそりと佇んでいる、といった感じでした。こちらでは11月22日から「芳香シクラメン」販売を始めたそうですが、残りは10鉢程度になっていました。「孤高の香り」は完売、「麗しの香り」と「香りの舞」の2品種がありました。出足が遅すぎました・・・。

芳香シクラメン「ひっそりと佇んでいる」と述べたのは、周りの園芸種に比べて、鉢も小さめで花が開いているものが少なかったからです。榎本さんに伺うと、「花が咲いているものから売れてしまうということもあるが、野生種の特徴を持ち合わせる芳香シクラメンは園芸種とは違ってぽつんぽつんと花が咲く」のだそうです。園芸種の花の豪華さに比べてしまうと少々寂しい気もしましたが、可憐でありながら静かな力強さを感じさせてくれます。


芳香シクラメン実際に花の香りを嗅いでみると、一つだけ咲く花からは、正直、香りが分かりませんでした。そこで2年ものだという芳香シクラメンの花に顔を近づけてみると・・・します、します!甘い香りですが鼻にツンと付くような香りではなく、バラのような上品な香りです。とても高価な香水をまとっているみたいに高貴な感じのする香りです。香りのする園芸種と違いを比べてみるとその上品さが良く分かります。園芸種の香りは甘さが少々きつめなのに対し、芳香シクラメンの香りには清々しさが残りました。

芳香シクラメン榎本さんに一番蕾が多くてよく咲きそうな芳香シクラメンを選んで貰って、買って来ました。「麗しの香り」です。最初はピンク色の花が咲きますが、徐々に色が濃くなって来るのだそうです。香りだけでなく、色のグラデーションも楽しめそうです。

12月も半ばを過ぎてしまいましたが、まだ間に合います!皆さんも、芳香シクラメンの香りを楽しみながら、この冬を過ごしてみてはいかがでしょうか。


※芳香シクラメンは生産者が直売しています。
生産者一覧はこちらのHPから。
http://www.pref.saitama.lg.jp/A06/BQ00/hanaueki/cyclamen.html

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