筒がゆの神事(記事)

筒がゆ神事1月15日(木)、川越市石田にある藤宮神社で「筒がゆの神事」が行われました。この神事は川越市の無形民俗文化財に指定されています。別名を「粥占(かゆうら)」と言います。藤宮神社の主祭神が「天の児屋根の命(あめのこやねのみこと)」という占いの神様であることから、1月15日の小正月に行われて来たそうです。以前は午前0時の真夜中に行われる秘め事の神事でしたが、無形文化財に指定されてからは早朝6時となりました。
この神事は葦(よし)の節と節との間の節のないところの茎18本をすだれ状に編んで束ねて筒にしたものを小豆粥の中に入れて、18本の茎の中に入った米粒の数で、1年の天候と作物の豊凶を占うというものです。


宮司様大麦から始まり、小麦、大豆、小豆、ササゲ、ワセ米、ナカテ米、オクテ米、麻、ひえ、木綿、いも、菜っ葉、大根、ソバと作物が続き、最後に天候の雨、風、日と18項目あり、筒をほどき、順番に1本ずつ葦の茎を割いて行きます。0粒から9粒まで、茎の中に入っていた米粒の下の位で占います。かつては各地方で行われていたようですが、近年ではその数も少なくなり、葦の本数や占う項目も各地で違うようです。


焚き火まだ日の昇る前の寒さも厳しい時間帯でしたが、地域の数名の氏子さんがいらっしゃいました。さすがに平日の早朝だけあり観光客と思われる方々はほとんどいらっしゃいませんでした。神社の前には焚き火が組まれ、待っている間には甘酒が振舞われました。その暖かさと焚き火の光の中で、準備が着々と進んで行きました。


よし筒釜で炊いていた小豆粥が出来上がると、宮司さんが御祓いをし、よし筒を拝殿から釜の近くまで持って行きます。それを大きな箸のようなもので挟んで小豆粥の中に入れ、しばらく揺すって引き上げます。それを拝殿にまた戻し、1本1本をナイフで割り開き米粒の数を確かめます。


占いの結果は、宮司さんが表に記入した数を氏子さんが見て、周囲に伝えられます。その表は、神事を見ていた我々も最後に頂くことが出来ました。神事で使われた小豆粥は皆に振舞われます。この小豆粥を頂くと虫歯にならないと言われているそうです。冷えた体に小豆粥の温かさが沁み渡り、とても美味しくて、なんと3杯も頂いてしまいました。

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冬の寒空の中に1時間近くもいると、手足も感覚が無くなるほどに凍えてしまいましたが、だんだんと夜が明けて空が白んでくるのを感じながら「筒がゆの神事」を見物しているのは、とても神聖な感じがしました。

筒がゆ神事気付くと「筒の中に沢山米粒入っていたらいいな」と思ったりしていました。人間は元々自然と神と密接に共存して生きていたんだと感じずにはいられませんでした。昔から続くこの神事に参加出来たことを感謝し、こうした素晴らしい伝統は絶やさず受け継がれて行って欲しいものだと思いました。


筒がゆ神事さて、今年の占いの結果ですが、なんと作物は15項目のうち0が10個とあまり良くない結果が出てしまいました。天候も風が9と多く、日は2と少ない。
14年前、0が6個の年があり、良くないと言われたそうですが、その2日後、阪神・淡路大震災が起こったのだそうです。それを聞いたら、その時よりも結果が悪い今年は一体どんな年になるのかと、小豆粥で温まった体がサーッと冷えて行くような気分になりましたが、宮司さんのおっしゃったように災害には十分注意して、作物は豊作であることを祈り、我々の身も平穏無事な1年になるように気を引き締めて行こうと誓ったのでした。

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