旧川越織物市場

旧川越織物市場1月25日(日)、12時~15時までの間、「旧川越織物市場」が一般公開されました。

蓮馨寺正門から大正ロマン通りを横切る道をまっすぐ進んで行くと、「旧川越織物市場」はあります。織物産業が盛んであった川越にその製品を集約する市場を作ろうと、明治43年に建てられたものです。



広い中庭広い中庭を挟んで2棟、江戸時代の町家様式を色濃く残した2階建ての長屋形式の建物です。実際に川越織物市場が稼動していたのは大正8年までと期間は短く、その後は2001年12月まで住居として使われていました。2005年には川越市の有形文化財に指定され、現在は「川越織物市場の会」の方々の手によって守られ、その再生が進められつつあります。



前を通るたびに気になっている建物でした。ぜひ中に入ってみたいと思っていました。月に1回の割合で公開されていることを知り、ようやく伺うことが出来ました。


文化財観光客で賑わう蔵の町や大正ロマン通りに近い場所にもかかわらず、その観光地とは対照的に、隣にそびえ建つ高層マンションにうずもれたような形で、静寂の中、非常にひっそりと佇んでいるといった感じでした。まだまだ川越には手付かずの素晴らしい文化財が残っている、というのが最初の感想でした。



川越織物市場の会 代表「川越織物市場の会」代表である西澤堅氏と会の方にお話しをお伺いすることが出来ました。

2001年11月にマンション建設のため、旧川越織物市場は解体される予定でした。それを市民有志が「川越織物市場の会」の前身である「旧川越織物市場の保存再生を考える会」を結成し、保存に尽力されました。その努力によって川越市が旧川越織物市場を買い取ることとなり、解体はされず今にその姿を残しているのだそうです。

署名活動、川越市への陳情と、旧川越織物市場を残すため奔走されたそうです。その当時は24時間体制で会の方々が交代で警備もされたそうで、どれ程のご苦労があったかと思います。こうしてその姿を今我々が見ることが出来るのは、その方々のおかげだと深く感謝せずにはいられませんでした。


旧川越織物市場ただ、どのようにして復活させて行くかというところに大きな課題があるようです。活用方法は幾つか具体案が出されているものの確定はしておらず、復元するには莫大な費用が掛かるのだそうです。築90年以上になるその建物は、柱や梁は当時のままでとてもしっかりとしており、それを基礎として復元することは十分可能だということですが、老朽化が進んでいるのはやはり否めません。


屋根瓦も雨漏りのするほどに痛み、それを交換するのには数億円の費用が掛かるのだそうです。瓦だけで数億円ですから、全体を復元させるにはどれだけの費用が必要なのか計り知れません。2003年5月に市の応急補修工事が終了して以来、残念ながら復元の事業は進んでいないということです。

旧川越織物市場復元には乗り越えなければならない問題が様々あるのだとお話を伺って理解することが出来ましたし、川越の歴史を知るために非常に重要な文化財であることも認識出来ました。

どんな問題があろうとも、旧川越織物市場をこのままの状態で置いておくのは勿体ないことだと思います。



個人的には単なる観光資源としての復元に留まらず、常に人々が交わり川越の織物の文化を知り親しんでいく場として地域コミュニティの要素も持ち合わせた場になったら良いと感じたのですが、まずは川越市のまちづくりの一環として、旧川越織物市場の再生復興計画が早急にスタートすることを願うばかりです。

旧川越織物市場のホームページ

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