鰻「東屋」

鰻重喜多院と成田山川越別院に挟まれた場所にある「東屋」は言わずと知れた老舗の鰻屋さんです。創業は明治初期。インターネットでの口コミも多く、最近では雑誌に掲載されるなど、川越では有名なお店です。
川越に住むようになってから、川越と言えば「鰻」というほど鰻屋さんが沢山あることを知り、鰻好きの私としては、ぜひ一度味わってみたいと思っていた鰻屋さんの一つでした。

土日に予約せず伺って入れなかったことが何度かありました。そこで、平日を狙って、事前に連絡して伺うことにしました。当日の連絡だったので予約は出来ませんでしたが、部屋が空き次第連絡を頂けるとのことでした。
お店の前でただ順番を待っているよりも、観光で川越にいらした方なら待っている間観光したりと時間を有意義に使うことが出来ますし、川越に住む方でも待つ手間が省けます。たまには喜多院や成田山別院に行ってみるかという気分にもなるでしょう。私も喜多院で散策しながら待ちました。こういったお店の心遣いは、ありがたいことだと思いました。

東屋入口東屋裏口

部屋が準備出来たとの連絡を頂き、早速伺いました。
一軒家の造りに年代が感じられ、外も中も雰囲気があります。
左の写真が表口ですが、右の写真、駐車場のある裏口からも入ることが出来ます。

1階個室から通されたのは1階のお庭が見渡せる6畳の部屋でした。こちらの部屋はすべて個室になっており、他の方の目を気にせずにゆっくりと食事を頂くことが出来ます。ただ、私は一人で伺ったので、6畳床の間付きのこの部屋を一人で占領してしまうのが何とも申し訳ない気分になりました。

東屋「お飲み物は何か召し上がられますか」と聞かれ、すでにこちらの雰囲気に酔い始めていた私は、思わず「お酒を……」と言いそうになりましたが、車で来たことを思い出し、ここはお茶で我慢です。鰻の他にもどじょうやなまず、鯉などのメニューもあるので、お酒を召し上がる方はそれらを肴に最後に鰻を頂くのもいいですよね。
車で来るんじゃなかった……後悔先に立たず……。

肝吸い特上鰻重にするか上鰻重にするか迷った挙句、上鰻重を頂くことにしました。2100円也。

待つこと数分、待ちに待った東屋の鰻がやってきました。まずは肝吸いから。鰻の肝が焼かれていて香ばしく頂くことが出来ました。ほんのりとゆずの香りもするお吸い物です。

鰻重そして鰻重を開けてみると……

蓋を開けた途端、鰻の香ばしく食欲をそそる香りが立ち込めました。写真を撮らなければと思うのですが、こんなに美味しそうな鰻を目の前にして、食べたいと逸る気持ちを抑えられません。
「写真なんか撮ってる場合じゃない!早く頂かなくては!」真剣にそう思いました。

どんな味なんだろうとワクワクしながらドキドキしながら頂いてみると……旨いです!美味しいです!備長炭を使用して焼かれた外側はカリッと香ばしく、中はふわっと柔らかい。このカリッふわっのコントラストが堪りません。外側の焼き具合が鰻の柔らかさを一層引き立たせます。

鰻重タレは辛目と聞いていたのですが、それがまたいい。甘めのタレが好みの方にはもしかしたら物足りないと感じるかもしれませんが、鰻の風味を消さず、食べ進めても全く飽きが来ません。

ご飯がまた美味しい。炊き加減が素晴らしいです。硬すぎず柔らかすぎず、つやつやと輝いています。米粒が立っていて、タレに丁度良く絡まります。

鰻とタレとご飯のバランスが絶妙なんです。きっとこの3つのうちのどれかの比重が大きすぎても小さすぎでもこの味は出せないのだと思いました。

鰻重あっという間に最後の一口となりなした。残念です。名残惜しいです。特上鰻重をお願いするんだったとまたもや後悔先に立たず……です。

大変美味しく頂きました。ご馳走さまでした。

東屋平日だったせいか、店内はとても静かで、食べ終わった後も、お茶を飲みながら庭の景色を眺め、ゆっくりと、いただいた鰻の余韻を楽しむことが出来ました。

幸せでした。
生きてて良かった……食べる楽しみを知ってて良かった……心の底からそう思えるひと時でした。
帰り際、「また来ます」という言葉が自然に出てくるほどにまた食べたい、また来たいと思えるお店でした。

お店のデータ
住所:川越市西小仙波町1-16-1
電話:049-222-0757

古き良き小江戸川越の街並みを探索してみませんか?

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