千客万来から一客再来へ

観光客は人数ではなく滞在時間

この数年来、川越市は外来観光客について年間1,000万人達成を至上命令のようにした施策に取り組んできた。前市長の思い入れが強かったこともあり、発表される観光客数は上昇カーブを描きつづけた。はたしてその数字に疑問を感じた人も少なくないだろう。

たとえば、小江戸川越の秋を彩る一大行事の川越祭。ついに昨年は2日間で110万人の人出があったと発表された。日本の祭礼の原点であり、全国から人が集まる京都の祇園祭の人出を上回ったというのだからビックリ。都市の規模からみても、交通機関、駐車場、宿泊施設、そして飲食店数などの受け入れ体制からしても、あまりにも数字づくりに無理が感じられる。トップの意向に添うためとはいえ、現場サイドの涙ぐましい神話づくりには何をかはいわんやである。

そもそも観光客については、人数を問うこと自体が不思議であり、説得力に欠けるのではないだろうか。どんなに大勢の方が川越に来ても、飲食もせずに2~3時間の観光で帰ってしまったらいかがなものだろうか。要は川越にいる滞在時間をいかに長くしていただくかがテーマであるはず。そして小江戸川越の歴史と文化、本物やこだわりの味や技に接していただき、満足していただき、リピーターとして再び川越に来てもらうことが大切なはずである。

川越を舞台にした朝の連続テレビ小説「つばさ」が全国放映されました。今後さらに観光客が増えるのは明らかなこと。追い風が吹いている今こそ、千客万来ではなく一客再来に結びつく戦略や施策を、民と官と関係団体がネットワークを組みながら進めていきたいものである。

記事:(や)

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