表情人形展｢風のまにまに｣【終了】

7月12日(日)まで、ギャラリー蔵乃茶屋かくれんぼで山本光子さんによる表情人形展｢風のまにまに｣が開催されています。

ギャラーリーに入ると、様々な表情をした人形たちがにこやかに穏やかに出迎えてくれているように感じます。今にも動き出しそうな気さえして来ます。

山本さんが表情人形を製作し始めて30年、指のない軍足にパンヤを詰めて基礎を作り、針と糸で、人形に豊かな表情を吹き込んで行きます。
そのテーマとなるのは｢メルヘン｣･｢似顔絵｣･｢昔話｣の3種類。昔話から飛び出て来たようなかわいらしい人形もあれば、実在の人物の特徴をとてもよく捉えた人形もあり、表情はもちろん、その形、しぐさなど見ていて全く飽きません。

製作に費やす時間は様々だそうで、2日で完成するものもあれば、3年掛かるものもあるのだそうです。それは自分の中でイメージ出来るか出来ないかによると山本さんはおっしゃいます。

例えばこの「マザーテレサ｣。
マザーテレサのイメージそっくりでとても素晴らしい人形ですが、イメージがご自分の中で固まるまで、とても時間が掛かったのだそうです。ある時、サリー数枚しか持たないほど質素でかつ偉大なマザーテレサが、寝る前のひとかけらのチョコレートをとても楽しみにしていたということを知り、スーッとそのイメージが降りて来たのだそうです。

人形は文字通り、人間の形にとても近いものです。そんな人形を見て、気分が良くなったり、ほっとしてもらえたら、と山本さんはおっしゃいます。ご病気をされて製作を休止されていたこともあるそうですが、病気になっても頑張る姿が、同じように病気で苦しんでいる方の力になればと穏やかに話して下さいました。

表情人形にはどれも山本さんの優しさと心が込められていると思います。それが人形の表情を豊かにし、見る人の心をも落ち着かせてくれるのだと思います。
優しさに溢れた表情人形を見ていると、本当にほっと出来ます。皆さんもぜひほっとしに伺ってみて下さい。