稲葉屋本舗
札の辻から菓子屋横丁に行く大通りに通り沿いにある「稲葉屋本舗」。昭和13年創業で現在2代目のほがらかな店主がお店を盛り上げています。親切でアットホームな人柄でお客さんに丁寧に対応している様子が印象的でした。芸能人も数々 訪れているちょっとした穴場のお店です。
製造作業をしている風景を撮影させていただこうと、奥へお邪魔したら凄く若い二人が作業をしていました。「あれ、新人?修行?それにしても若すぎるな」と思ったら、中学生が体験学習で「紫芋まんじゅう」を作っていました。稲葉屋は、中学生の体験学習受け入れているそうです。こんな貴重な体験をさせてもらえるなんて、本当にうらやましいです。自分たちの時代はこんなのあったかな~?なかったよな~。次回はぜひ、大人の部で体験学習させてもらいたいですね。
稲葉屋は、自家製の商品が多いです。「紫芋まんじゅう」「いもどうなつ」「むぎ棒」「くずゆ」など、どれも美味しくて、一口食べたら止まらないですよ。本当に全部がオススメ商品です。これらの商品は店主が出来る限り昔の伝統を守り、昔とほぼ変わらない方法で作っているそうです。
今回は店主が「くずゆ」を作っているところを撮影させてもらいました。砂糖、抹茶などの材料を気温や湿度などにも合わせ、微調整しながら一つ一つ丁寧に混ぜ合わせ、混ぜ終わったら木型に入れて手で丁寧に押し付け、最後に木型をひっくり返して裏側を軽く叩くと、キレイな形の稲葉屋のマークが入っている「くずゆ」が出来ます。見ていると簡単そうに見えるのですが、普通の人がやるとキレイな形が出来ずにすぐに割れてしまうらしいです。簡単そうなものほど奥が深いということがよく分かりました。
実はこの「くずゆ」、たいやき屋のかわしま屋さんの前に、お店を営んでいた方が売られていたそうで、その方が引退してしまうので、稲葉屋さんが受け継いだそうです。その方から一通り作り方は教わったものの、難しくて何度もくじけそうになったことか。もう「くずゆ」を作るのはやめてしまおうと、何度となく思ったそうです。が、練習に練習を重ね、試練を乗り切り、今では立派な稲葉屋のおすすめ商品となったそうです。
店主のこだわりは、「常に同じ味を作り続けること」だそうです。お客さんが買うたびに違う味じゃだめでしょ、と。当たり前のように思えるこの言葉ですが、それを実行するのはとても難しいそうです。「材料もその日その日で違う。生き物と同じ」と語る店主。砂糖は湿気などによって、硬さが違うそうです。違うからこそ、その日その日の天候・気温に合わせた水加減で同じ味を作る、それは至難の業なのだそうです。
作業していると稲葉屋の店主が横丁の歴史についていろいろと教えてくれました。
横丁の歴史は130年前にさかのぼる。お菓子職人の鈴木藤左衛門が定住、のれん分けで職人が増え、最盛期の1930年ごろには70店が軒を連ねた。戦時中は休業したが、戦後は復興ムードに乗って街中に甘い香りが漂ったそうです。しかし、お店の外見は工場のようで、お菓子屋とはわからなかったそうです。「知らずに通った人は、それは不思議に思っただろうね」と笑顔で話してくれました。
その頃の菓子屋横丁の店主の貴重な集合写真も見せてくれました。今もまだ営業しているお店の菓子屋横丁の店主のお爺さんにあたる方々を、「この人はどこどこのお爺さん」と、ひとりひとり指で指し、丁寧に教えてくれました。取材は稲葉屋が最後だったので全部わかり、「すごいな~」と思いましたが、その反面、これを最初に聞いていたらチンプンカンプンだっただろうな~と思いながら聞いていました。写真のみなさんは、スーツより着物が非常に目立ちます。横丁の歴史は深イイ話ばかりです。気になる方は「稲葉屋」へ行って聞いてみて下さい。優しい店主が丁寧に教えてくれますよ。
今回、「稲葉屋本舗」の自家製の商品をいくつが試食させてもらいました。「いもどうなつ」も「ようかん」もどれも美味しく、試食用の商品が入っている箱には「お1人1つでお願いします」と書いてあるにもかかわらず、また手を伸ばしそうになるほどの美味しさです。相方が止めてくれなかったら、確実にどんどん食べてしまっていましたね。
自分の一番のおすすめは、「紫芋まんじゅう」です。こちらは試食が出来ませんが、これは本当に美味しいです。柔らかくて温かい白い皮の中に、紫芋がみっしりと詰まっています。半分に割ると紫芋の繊維質が見えるほどで、甘みもほんのりで、この美味しさに絶句します。出来れば、その場で温かいおまんじゅうを食べて欲しいです。横丁に行ったら…いや、川越に行ったら稲葉屋の「紫芋まんじゅう」を食べないと絶対に損ですよ!皆さん是非味わってみて下さいね!!
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